高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい


 慣れない賑やかな場に華は黙々と料理を食べ続ける。歓迎会が始まったばかりの時間帯は滅多にこういった会に顔を出さない華に対しての不思議な視線が多かったが、今はもう各々に楽しんでいて視線を感じることはない。この歓迎会の主役である尊臣に皆が注目してくれているおかげでもある。


 尊臣は女性看護師に囲まれ質問攻めを食らっていた。そんな光景を横目にポツンといつも通りボッチになってしまった華は箸を止めることなく料理を食べ続ける。


「先生って、アメリカに置いてきた彼女とかないですよねぇ?」


 亜香里の猫を撫でたような甲高い声が聞こえてくる。


「いないよ。でも日本に好きな人がいるから戻ってきたんだ」


 へぇ、尊臣くんって好きな人がいるんだ。


 つい聞こえてきてしまう会話に華は心の中でへぇ〜と返事をした。ほかの女性看護師たちは「いや〜〜〜っ」と崩れるような雄叫びを上げたりと大忙しのようだ。

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