高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい
「好きな人ですか!? え〜〜〜高地先生の好きになる人ってどんな人なんだろう。気になりますぅ」
亜香里はへこたれている様子もなく尊臣の右腕にべったりとくっつき、尊臣の好きな人を問いただす。
「ずっと俺の片思いなんだけどね。凄く頑張りやさんで、気が強いんだけど、凄く泣き虫なんだ」
どうしても聞こえてきてしまう会話に華は心の中でまた、へぇと頷きながら前を向いた。
え――?
べったりとくっついていた亜香里をいつの間にか身体から剥がし、尊臣は華を優しく微笑みながら見つめていた。目が合ってしまい、華はすぐに視線を逸らす。
(な、なんで私のこと見てるの……)
華は気を紛らわすうように水滴がまとわりついたジョッキを握りしめて烏龍茶を身体の中に流し込んだ。飲んでいるのはノンアルコールの烏龍茶のはずなのにバクバクと身体が脈を打ち、熱くなる。