高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい
かなりの烏龍茶を飲んだからか華は一人でトイレにいた。
「ふぅ、疲れた」
特に誰かと話していたわけでもないけれど、やっぱり慣れない場は精神的にかなり疲れた。もう一時間近く参加したのでそろそろ帰ろうと考えながら華は流れ出てくる水道水で手を洗う。
「桜庭せーんせっ」
ひょっこっと華の隣に亜香里が顔を出した。気づかないうちに亜香里もトイレにいたようだ。
「早見さん、お疲れ様」
華はきゅっと蛇口を捻り水を止める。
「先生って高地先生のお知り合いだったりしますぅ?」
亜香里と鏡越しに目が合った。顔は笑っているが目は笑っていない。
「……同級生だっただけよ」
「どうりで、なんか知り合いそうな雰囲気かましだしてたんで気になっちゃいましたよ。こないって言ってたのに歓迎会にも先生来てくれましたし。まさかと思いますけど同級生とか言いながら恋人だったとかじゃないですよね?」
亜香里はまっすぐに華を見る。嘘をついたら許さないと瞳が物語っているように見えた。