高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい
「まさか。本当に小学生の頃同級生だっただけよ。それ以上でも以下でもなんでもないわ」
「そうですか。ならいいんです。私高地先生のこと狙ってるんで邪魔、しないでくださいね? 今まで通り桜庭先生は高嶺の花として誰のものにもなっちゃダメですよ。せんせっ」
亜香里はニコニコと笑いながら、華を残してトイレから出ていった。
「はぁ」
疲れた。女の戦いってのは昔からどうも好きではない。自分は相手の男性に対してなにも思っていないのに、こうして釘を刺されることは何度か経験したことがある。
「心配しなくても、恋なんてしないわよ」
華はボソリと呟いた。
「帰ろ」
華はそっと誰にも気づかれないように店を出た。