高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい

尊臣side


「なぁ、お前の好きな子ってどれなんだよ? 早く教えろよ〜」


 ふわふわの茶色い髪を上下に跳ねさせながら土屋玲(つちやれい)は尊臣の隣をニコニコしながら病院の廊下を歩いていた。玲は尊臣と同じでアメリカから帰国した内科の医師だ。同期でもある。


「お前本当うるさい」


 ピシャリと尊臣は言い放つが玲は全くめげずにニコニコとしている。


「なんだよ〜冷たいな〜同期なんだから優しくしてくれよ。尊臣が一人で日本に行くのは寂しいだろうなと思ってついてきてやったんだからよぉ」
「勝手にお前がついてきたんだろ。そのせいで一ヶ月も日本に来るのが遅れたんだから」
「まぁまぁ、いいじゃないの」
「お前なぁ」


 尊臣ははぁと溜息を着きながら歩くスピードを速めた。

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