高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい
「あ、華」
尊臣が小さく華の名前を呟いた。角から曲がってきた華の姿が見えたのだ。
「あれが尊臣の好きな子ね。めっちゃ美人じゃん!」
離れていたはずの玲が走りながら尊臣を横切った。
「はっ? 玲?」
玲の行く先を目で追いかけると確実に華を目指している。冗談じゃない、と尊臣は急いで玲を追いかけた。
「は〜なちゃんっ」
陽気な声に呼ばれた華は「えっ?」と振り向いた。その瞬間、玲が華を抱きしめたのだ。
(あいつっ!!!)
ここはアメリカじゃねぇんだよ!
尊臣は怒りを抑えながら走るスピードを速めた。