高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい
「……怖かったの。怖いの、男の人が」
震える唇を華はきゅっと詰むんだ。その瞬間、一粒の雫が頬に線を作った。
「華……」
女性が男の人を怖いと言う理由は大体は予想がつく。でももし、それが華にも当てはまってしまうなら? 尊臣はギリッと奥歯を噛み締めた。
「あ、悪い。俺、華の手を握って……」
離そうとしたがギュッと力強く握られた。
「華?」
尊臣は不思議そうに華を見た。
「……いい。なんでだろ、尊臣くんの手は安心できた、から……」
ズキンと心臓が痛んだ。華の過去がどんなものだったのかは無理に聞き出せない。それでも自分の手を受け入れてくれたことが嬉しかった。
抱きしめたくなる衝動を必死に抑え込んで尊臣は華と繋がっている手にもう片方の手を乗せた。