高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい
「そんなことしたら尊臣くんが訴えられちゃうわよ」
尊臣は「まぁ確かにな」と呟き、華をじっと見た。漆黒の、なんの濁りもない、真っ直ぐな瞳が華を捉える。
「華は医者の夢をちゃんと叶えたんだな」
「あ、うん。まさか尊臣くんも医者になってるとは思いもしなかったけどね」
ドキドキドキドキ。どうして尊臣相手にこんなに緊張しているのだろう。やっぱり唯一仲のいい友人だとしても男だから? 唯一男性恐怖症でも触れられる人だから? わからない。わからないけれど心臓が痛いくらいに早く動いている。
「まぁな。医者になれてよかったよ。こうして華とも会えたしな」
よしよしと華の頭を撫でた手はそっと離される。
「私も唯一の友達だった尊臣くんに会えてよかった」
それは本当に思っている。こうやって本音で話せる人は華にとってはとても少ない貴重な存在だ。
「華、あのさ――」
「高地先生少しいいですか?」