溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
1、彼女はとても無防備で
頬を紅潮させているのは、息が上手くできないから苦しいのだと、以前恥ずかしそうに言っていた。
口づけで呼吸を乱す姿は、いつも凛として聡明な彼女の印象を見事に崩し、感情を激しく揺さぶった。
「っ、晃汰さん……?」
もう何度も唇は奪っているのに、未だに慣れないのがいじらしい。
「怒って、ますか……?」
唇を割って少し強引なキスで迫られたからか、千尋は眉尻を微かに下げどこか困ったように俺を見上げる。
そんな姿がかわいらしくて、悪戯心が無意識に働いた。
「そうだな、怒っているかもしれない」
「ご、ごめんなさい。突然のことだったので、その、話をするだけならって、晃汰さんに相談もなく──」
事の経緯を説明する彼女の細い腕を掴み、少し強引に引いていく。
抵抗することもなく黙ってついてきた彼女を、そのままバスルームの扉を開けて引き入れた。