溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
7、激しい嫉妬に愛は皆無
少しずつ花びらが舞い始める桜の美しい季節、四月上旬。
今日は最高気温も二十五度と温かく、薄手の長袖一枚で十分過ごせるいい陽気だ。
「院長、『ワールドメディカル』のチェックが早めの戻しで届いております。締め切りは元々決まっている今週末で構わないとのことです」
郵便物として届いた出版社の名前入り封筒をデスクの端に置く。
「ありがとう。戻しが早かったな」
「はい。院長の原稿にほぼ問題がなかったのだと思います」
「そうか。それならいいが、加筆しようと思っている箇所があるからな。データでも届いているか?」
「大幅に書き加えるようならお使いくださいといただいています」
夫婦として新居のマンションに住み、仕事場には一緒に通ってきている。
思惑通り、私たちが一緒に出勤してきても今のところ関係を疑う者はいない。
私が晃汰さんの秘書という立場だからであって、これがもし院内の看護師などという立場ならすぐに怪しいと噂が広まっただろう。