溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「それから、『旭日医業』の小松田様から、マイクロスコープのニューモデルをご案内いただけるとご連絡をいただきました。明日の十七時にお約束をさせていただきましたので」
ふたりきりの空間だとしても、仕事中は基本的に以前となんら変わらない。
話し方も姿勢も緩めることはない。
「待った。明日の十七時はダメだ」
「え? なにか別件が」
私がなにか忘れているのかと慌ててスマートフォンを手に調べようとタップしたところで「別件ではない」と返された。
「明日はディナーの予約を入れている」
「え……」
「入籍して一カ月記念だ」
思いもしなかったことを告げられ、一瞬固まる。
仕事の話ではなく、私たち夫婦の話だ。
「あ……そうでしたね。そんな手配をしてくださっているんですか?」
「ああ。だから明日のその時間は難しい。一時間早められないか小松田さんに相談してみてもらえるか」
「わかりました。早急に連絡します」