溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「お好みのものを何点でも選んでいただいて構いませんので、どうぞお声がけください」
店内にディスプレイされているウエディングドレスをひとつずつ眺めながら、自分が着てみた姿を想像してみる。
妄想だけで自然と気持ちが昂りわくわくとしてくる。胸が弾んで躍り始め、ついにやけてしまいそうな顔に注意して表情を引きしめた。
三カ月前なら、ウエディングドレスを着るなんて考えもしなかった。
ちょうど年明け頃、この店の前を通りがかった記憶がある。
その時にちらりとショーウィンドウに目を向けたものの、他人事のように綺麗だなとありきたりな感想を胸に抱いた程度だ。
めぼしいドレスを選び、次回の予約で試着してみることに話がまとまる。
退店時にスマートフォンを確認すると、まだ晃汰さんからの連絡は入っていなかった。
一旦病院に戻ろうか悩む。
「千尋さん?」