溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 結婚し、少しずつ彼を知って惹かれていったこと。もう好きになっていることを昨日やっと自覚した。

 だから触れられたことで、彼に求められる悦びを感じてしまった。

 晃汰さんの気持ちが私にないとしても、ひとつに繋がれたことは幸せでしかない。

 晃汰さんはきっと、昨日のあの光景を見て、ただ単純に気に食わなかったのだろう。

 自分の妻が、他の男に腕を取られ抱きしめられていたら、気持ちはなくても気分のいいものではない。

 その怒りに任せ私を抱いたのかもしれないけれど、それはそれで仕方のないことだ。

 それでも構わない。私は晃汰さんを好きになり始めていて、その気持ちはもう止められないのだから。

〝水瀬院長〟を、好きになるなんて……思いもしなかったな。

 さらりと流れる彼の前髪に手を伸ばしてみた。

 触れるとさらりと流れ、綺麗な鼻筋にかかる。

 仕事中は特に隙のない晃汰さんが、こんな無防備に寝顔をさらしていることがなんだか不思議でならない。

 もう一度流れた髪を直そうと指先を伸ばしたところで、晃汰さんはすでに気付いていたように私のその手を掴んだ。

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