溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「あっ、起きてたんですか」
「いや……寝てた」
そういうわりには、しっかり私の気配を感じて指を捕まえた気がする。
晃汰さんは「おはよ」と小声で言った。
「おはよう、ございます」
といっても、今さっきまで一緒に起きていた。
眠っていたとしても、まだ一時間程度しか経っていない。
「眠れたか?」
「いえ、それが全然で」
「そうか」
未だ頭は興奮状態なのだろう。体は休息を求めているのに、目が冴えて眠ることができなそうだ。
晃汰さんが腕を伸ばして私を引き寄せる。
密着した胸板は温かく、次第に心拍が上昇していく。
私を抱き寄せた晃汰さんは、髪を撫でるように優しく後頭部に触れた。
こんな風に優しく扱われると、彼も私のことを想ってくれているのではないかと勘違いしそうになる。
黙ったまま、両手を彼の胸に当てて目を閉じた。