溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
その日は終業時刻ぴったりに仕事を上がり、約束通り入籍一カ月記念のディナーに出かけることに。
十七時過ぎに病院を出た車は、やがて首都高速に入り下り方面に走っていく。
まさか、一カ月を記念してディナーを計画しているなんて思いもしなかった。
本物の夫婦みたいなことをしてくれるんだなと思いながら、ちらりと運転をする晃汰さんに目を向ける。
私の視線に気付いたのか、ちらりとこちらに視線を寄越した。
「どうした」
「あっ……いえ」
「入籍一カ月だからディナーに誘われるとは思わなかったか」
見事に当てられたことに、思わずまた晃汰さんの顔を見てしまう。
「当たりだな」
「すごい……なんでわかったんですか」
「なんで……そうだな、俺自身も自分でそう思ったからだな」
晃汰さんはそう言って横顔に微笑を浮かべる。
「でも、自然とそうしようと思っていた」
「え……」
それって、今日の日を特別な日と思ってくれているってことなのかな……?
そんな風に解釈して、勝手にドキドキと鼓動が高鳴り始める。