溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「ありがとう、ございます……嬉しいです。そんな風に気にしてもらって」


 昨日晃汰さんを好きだと気づいてから、彼を途端に意識するようになってしまった。

 昨晩のことがあったせいもあるかもしれないけれど、今日は仕事中も何度も鼓動を高鳴らせる場面に遭遇した。

 夫婦とはいえ、仕事中はあくまでも今までと変わりなく接しなくてはならないのに……。

 車は首都高から中央道に入り、三十分ほど走って出口を出ていく。薄暗くなってきた窓の外は山に囲まれる長閑な景色だ。

 到着したのは、立派な門構えのレストラン。広い門からそのまま車で入り、敷地内の駐車場に停車する。

 車を降りると、三百六十度山に囲まれた景色に空を仰いだ。この近くは海外の観光客からも人気のスポット高尾山がある。


「ここは……?」

「榊のオーナーが独立前に修行していたレストランだ」

「えっ、そうなんですか?」


 会食などでも使い、晃汰さんもお気に入りの銀座のステーキ榊。そこのオーナーが修行を積んだ店だと聞いて驚く。

 広い敷地は立派な庭園があり、レンガ造りの洋館のような建物がレストラン店舗だ。

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