溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「大丈夫です。少し、眠いくらいです」
「そうか。それならいい」
握る手を軽く引かれ、近付いた晃汰さんは私のこめかみに口づける。
不意な行動に心臓がまたばくばくと鳴ってしまったままレストランの扉を入った。
異国情緒溢れる洋館のような佇まいのレストランは、入り口を入ると天井の高いエントランスが待っていた。
見上げると窓にはステンドグラスが埋め込まれていたり、歴史がある建物と思われるが美しい。
案内されたのは、フロア奥の個室の席。庭園が見えるように広く開放的な窓ガラスの目の前に用意されている席だ。
席に着くとすぐにスタッフがディナーの支度を始める。コースですでに予約がされているようだ。
ドリンクを問われ、晃汰さんと同じく食後にコーヒーをいただくことを決める。
しばらくすると、用意されていたグラスにスパークリングウォーターが注がれ、前菜のサラダのプレートが置かれた。
晃汰さんは「じゃあ」と言ってグラスを手に取る。
「入籍一カ月を記念して、乾杯」
「はい、乾杯」
互いにグラスを傾け乾杯をし、スパークリングウォーターを乾いた喉に流し入れた。