溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
8、不釣り合いは承知の上
ひと区切りつき、視線をパソコンの画面からすぐ横のガラス窓に移す。
ビルの合間に植えられた木々の緑を見て、ブルーライトで疲れた目を休めた。
季節は七月。
今日は梅雨の合間の晴天で、ところどころに雲が浮いているけれど青空が広がっている。
気温もぐんぐん上昇中だ。お昼過ぎにひとりここのカフェに入った時は、暑くて着ていたジャケットは手にかけていた。
今朝見た情報番組の天気予報では、今年の梅雨明けは例年よりも早いと言っていた。
このまま梅雨が明けてしまいそうな空を、ガラス張りの窓からぼんやり見上げる。
六月に予定していた挙式披露宴は滞りなく無事に執り行われた。
親族や近しい友人、お世話になっている方々を招待し、そこまで大規模なものではない式となった。
一番の目的は互いの両親に結婚の報告を改めてすることだったからだ。
窓の外に目を向け、風に揺れる木々の葉をぼんやりと眺めながら挙式当日のことを振り返る。
悩みに悩んで選んだAラインのウエディングドレスは、晃汰さんが一番に私に似合うというひと言が決めてになった。
晃汰さんはグレーシルバーのタキシードに身を包み、私だけでなく多くの女性の視線を釘付けにしていた。