溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「そうなんですか? 千尋さん、堂々とされているし、私からはそんな風にまったく見えませんでした」
「そんなことないんです。そもそも、晃汰さんとつり合いのとれる身分でもないですし」
「元々、晃汰さんの秘書をされていたんですよね?」
「はい。だから、私でいいのかなって、結婚した今ももやもやしていて」
これまで人には話したことのないようなことをつい流れで話してしまい、そろそろ話題を軌道修正しないといけない。
そう思っていると、菜々恵さんが「よくわかります」とぽつりと口にした。
「私も、妊娠がわかる前、まったく同じようなことで悩みました」
「え……そうだったんですか?」
意外な話に私が食いつき、菜々恵さんはこくりと頷く。
「私は看護助手をしていて、ドクターの漣さんとはつり合う立場ではないって思っていて……そういう思いの中、相応しい相手がいるって私が誤解をして、一度離れてしまった過去があるので。だから、千尋さんのお気持ちすごく共感します」
菜々恵さんも私と同じように悩まれていたと知り、ますます親近感が湧く。
「でも、結果的には、ちゃんと話してなかっただけで、お互いの気持ちとか、知ろうともしないで思い込んでいただけだったので。千尋さんも、ご結婚されて今があるので、自信を持って晃汰さんのおそばにいればいいんだと私は思います」