溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
9、彼女の心も奪いたい Side Kouta
「こうにい、またきてね!」
月に抱っこをせがまれ、抱き上げる。すぐに詩が「うたも!」と足に絡みついてきた。
ふたりいっぺんに抱き上げると、きゃっきゃと楽しそうにふたりが笑う。
「また来るから、それまでちゃんとパパとママの話を聞いて、幼稚園頑張れよ」
声を揃えて「はーい!」と言ったふたりを下ろす。
菜々恵さんに抱かれている花がこっちに向かって控え目に手を振っていて、「花もまたな」と手を振り返した。
月と詩ほど積極的に来てくれないのは、ちょうど人見知りをする月齢なのだろう。
「ちひろちゃんもまたきてね!」
俺の手から離れた月は、千尋のもとへ行く。
「ちひろちゃん、こんどはママとおしゃべりばっかりしないで、うたともたくさんあそんでね」
詩は千尋が菜々恵さんと話し込んでいるのをしっかりチェックしていたらしく、そんなことを言う。
千尋は腰を落として視線を合わせ、ふたりの頭を優しく撫でた。