溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「うん。またお邪魔します。詩ちゃん、今度はもっと遊ぼうね」


 弟家族に見送られ、マンションのエントランスを後にする。


「悪いな、外まで見送らせて」

「いや、全然。ありがとう、気をつけて」


 子どもたちの元気な「ばいばーい!」に見送られ、来客用の駐車場へと向かう。

 横を歩く千尋はどこか晴れやかないい表情をしていて、連れてきてよかったと密かに思っていた。


「お疲れ様。疲れただろう」


 車を発進させてすぐ、助手席の千尋を窺う。

 充実した顔をしているからとはいえ、俺の弟の家に連れていかれて気を遣わないわけがない。


「いえ、大丈夫です。すごく楽しかったですよ。ありがとうございました。一緒に連れてきてもらって」

「そうか。それならよかった」

「改めて結婚式のお礼も伝えられましたし、子どもたちにも会えて。菜々恵さんと仲良くなれたのが嬉しいです」


 そう言った千尋は「連絡先交換もしちゃいました」と声を弾ませる。

 菜々恵さんと話し込んでいるのはちらちら目にしていたけれど、大分打ち解けたようだ。

 弟の奥さんと仲良くなってくれるのは俺的にも嬉しい。

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