溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 自分たちのマンションへと到着し、普段通り千尋の細い手を握って部屋を目指す。

 玄関ドアを開けて彼女に続いて入り、そのまま背後から抱きしめた。


「晃汰さん……?」


 急に触れると、未だに驚いたような反応を見せるのがいじらしい。

 だからつい、こうしてサプライズ的に迫ってしまう。


「今日はほとんど触れてなかったから、衝動で」

「なんですか、それ」


 肩越しにくすくすと笑われる。

 そっと体を反転させて目を合わせ、唇を重ね合わせた。

 日に日に彼女の魅力におちていく。

 彼女の体だけではなく、心だって奪いたい。

 それにはどうしたらいいのかわからないけれど、少しずつ日々の中で想いが伝わっていけばいいかなと思う。決して焦ってはいけない。

 今はただ、彼女を大事に愛でていくだけだ。


「夕飯……なにがいいですか?」


 唇を離すと、千尋はほんのり頬を桜色にして今晩の夕食について尋ねてくる。


「千尋が好きなものでいい。一緒に作ろう」


 そう言うとにこりと微笑み「はい」と嬉しそうに答えた。

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