溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「夏風邪かもしれないし、今日は仕事を休んだ方がいい」

「え、でも」

「こっちは大丈夫だ。無理して悪化したらそれこそ大変だろ?」

「そうですけど……」


 これまで欠勤は片手で足りるほどしかしたことはない。その中で体調不良は一、二度だ。

 基本的に体調管理も仕事のうちだと考えている。私が休むことで晃汰さんや他にも迷惑をかけてしまう相手が必ずいるからだ。


「でも、夏バテみたいなものかもしれないですし、そんなに心配はないかと」

「夏バテでも舐めちゃいけないからな。十分な休養が必要だ」

 そう言った晃汰さんは掛け布団を整えて私にかけてくれる。

「とにかく、今日は一日様子を見ればいい。これは院長命令だ」


 そんな言い方をされてしまうと、もうそれ以上反論はできなくなる。

「わかりました」と素直に従うことにした。


「でも、調子が戻ってきたら途中から出勤しますので」

「ああ、無理しなくていい」


 晃汰さんは「とりあえずまだ寝てて」と言って足早に寝室を離れていった。

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