溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「わぁ、美味しそう」
早速れんげでお茶碗によそっていくものの、なぜだかやっぱり気分が優れない。でも、気にせずひと口すくって口に運んだ。
「美味しい。ありがとうございます。ゆっくり食べますね」
「無理そうなら残せばいいから。じゃあ、行ってくる」
晃汰さんは少し急いで寝室を出ていこうとする。きっと、お粥を作ってくれたせいで時間が押したのだ。
晃汰さんが寝室を出ていくのを見送ろうと、トレーを横に置きベッドを出かけたところで「そのまま食べてていい」と言われてしまう。
仕方なくドアを出ていく姿にその場から「いってらっしゃい」と声をかけた。
その後すぐに玄関を出ていく音が微かに聞こえる。
ひとりになって、小さく息をついた。再びトレーを取って膝の上に載せる。
晃汰さんが私の体調を気遣って作ってくれたでき立てのお粥。
すごく嬉しいし、お粥だって大好きだ。
だけど、なぜだか本当に食欲が湧かない。
むしろ少し気持ち悪いくらいで、とてもじゃないけど今これを完食するのは厳しい。
でも、まさか処分なんてできるわけない。そんなことしたいわけがない。
なにがなんでも、時間をかけてでも完食する。