溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
マンションを出て、久しぶりに電車に乗って病院を目指す。
引っ越してからは基本的に晃汰さんと一緒に車で出勤していたから、こうして自分で電車に乗って通勤するのは片手で足りるほどの数しかない。
二駅という短い移動時間、ドア口に立って到着を待つ。通勤時間ではない電車内はさほど混み合っておらず快適だ。
ぼうっとしていると、近くの優先席にお腹の大きな妊婦が座っているのが目に入る。
その前にはパートナーの男性だろう。彼女の前に守るように立ち、ふたりは笑い合いながら楽しそうに話している。
さっきの検査薬で妊娠していなかったとわかり、正直がっかりしてしまった。
晃汰さんとの子を身ごもったかもしれない。
彼との子が欲しい。
いつしか、子どもができればこの先も晃汰さんと一緒にいられると思い始めていた私は、もしかしたらとあの瞬間の期待度は半端なかった。
どこか焦っている部分もあるのかもしれない。
晃汰さんは私との婚姻関係において後継者を求めている。それはこの結婚に賛成してくれた会長ご夫婦もだ。