溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「最後の最後に、ごめんなさい。でも、この気持ちに偽りはないです」
「最後の最後って……」
「初めは、戸惑うことばかりだったけど、一緒にいられて幸せだった。夫婦としては、短い時間だったかもしれないですけど、本当に、毎日幸せで」
「ちょっと待ってくれ。いったいなんの話をしているんだ?」
焦ったような口調で晃汰さんが話を止める。
不意に視線を上げると、わずかに眉間に皺を寄せ、その表情は困惑一色に染まっていた。
「最後とか、一緒にいられて幸せだったとか、夫婦としては短い期間だった? まるでもう終わりみたいなその言い方はなんなんだ」
「終わりみたいって……だって、もう終わってしまうから」
「ちょっと待ってくれ。話がまったく見えない」
どうしてそんなことを言うのだろう。五十嵐さんと一緒にいたところを、まさか私に目撃されているとは思っていないから……?