溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「五十嵐さん……妊娠しているんですよね?」
「え? ああ、それがどうした。今関係のない話だろ」
関係ない?
「私……見ちゃったんです。さっき、晃汰さんと、五十嵐さんが産婦人科に入っていくところを」
「そうだったのか。急な体調不良で、かかりつけの産科まで同行したんだ。パートナーがすぐに迎えに来たから、あの後すぐに病院には戻れた」
「え……? パートナーって」
「彼女の婚約者だ」
告げられた言葉に新たに頭が混乱し始める。
パートナーって、晃汰さんは五十嵐さんとは……?
「とんでもない勘違いをしていたりはしないよな? まさかとは思うが」
私がこんな風にぼろぼろになっている姿を前に、晃汰さんは疑うような口調で訊く。
とんでもない勘違い。そうだとすれば、私が勝手に……?
「私……晃汰さんと、五十嵐さんが、再婚されるのかと」
思っていたことを口にしてみると、晃汰さんはなぜだか吹き出すように笑う。「ちょっと待て」と笑いを堪えながら口にした。