溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「なんだ、そのおもしろすぎる冗談は」
「おもしろすぎるって……だって、あの光景を見たら、私……。私と別れて、彼女と一緒になるんだろうって。いつまでも妊娠できない私はダメだから、彼女との子どもができたから、じきに離婚を求められるだろうって」
晃汰さんが現れるまでずっと考えていたことを隠さず語る。
いつの間にか晃汰さんはその顔から笑みを消し去り、真摯に私の言葉に耳を傾けてくれていた。
「そう思うと、自分が悪いから仕方ないとか。でも、晃汰さんが好きだから離れたくないってわがままが生まれたり、涙が止まらなくなって──」
再び晃汰さんの腕の中に包まれる。
大きな手の平で背中をさすられ、優しい声で「千尋」と名前を呼ばれた。
「この先なにがあっても、千尋を手放そうなんて思うことはない」
はっきりと聞こえた言葉に、瞬きを忘れる。
「たとえ子どもができなくても、そんなことで別れようとも思わない」
え……?
「千尋を愛しているから、なにがあっても離さない」