溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 視界がまた一気に涙でいっぱいになる。

 枯れることを知らない涙はまた勢いよく流れ始め、晃汰さんのスクラブに染みを作っていく。


「こんなに好きなのに、どうしてそんなとんでもない方向に考えが及ぶんだ」


 だって、だってそれは……。

 晃汰さんが私を愛しているとか、好きだとか、そんな風に言ってくれたことは形だけのもの。

 普段接していて、愛情を感じることは多々あったけれど、それは夫婦だから優しさを持って接してくれているだけだと思い込んでいた。

 でも、それは違っていたということ……?


「初めて言ってくれましたね、好きだって」

「そうだったか?」

「そうです。言われていれば、嬉しくて忘れません」

 背中を撫でていた手が、今度はそっと髪に触れる。


「とっくに俺の気持ちは伝わっていると思っていた。籍を入れて、一緒に過ごすうちに、いつの間にか特別な感情を抱いていたから」


 思いもよらぬ告白を受け、感情が忙しない。信じられない思い、嬉しい気持ち、暴走した自分への後悔。そして涙は止めどなく流れ続けている。

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