溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「でも、俺が千尋を不安にさせていたんだな。言葉足らずなせいで」
晃汰さんは「悪かった」と謝罪した。
そんなことないと、腕の中で大きく横に首を振って否定する。
「晃汰さんが謝ることないです。私が、なにも確かめもせずに、勝手にショックを受けて……」
「俺が愛していると常日頃から伝えていれば、今日のような場面を目にしても、とんでもない考えにはならなかっただろう」
「そうかも、しれないですけど……」
「だから俺が悪いんだ」
晃汰さんはそう話をまとめ、腕を解いて私の顔を見る。
きっと涙でアイメイクもぐちゃぐちゃになっているに違いない。
そんな汚い顔を見つめ、晃汰さんは柔和な笑みを浮かべた。
「もう不安にさせない。約束する」
「晃汰さん……」
「千尋、好きだよ。どうしようもないくらい、好きだから」
確かめるようにそっと唇が触れ合う。触れるだけの優しいキスを落とし、晃汰さんはまた私を抱きしめた。
言葉にならなくて、両手を回して晃汰さんの背中を抱きしめ返す。