溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「もう一度調べてみようか」

「え……一度陰性と出たのに?」

「検査の時期が早かったりして判定が出ないことがあるから。一週間経った今、もう一度調べてみる価値はある」

 そう言った晃汰さんは箱を私に手渡し「だから二本セットなんだ」と付け加えた。


「そうなんだ……わかりました。調べてみます」


 確かに、未だに生理はきていない。普段より二週間ほどずれてきていて、今月は来ないままおわるのでは?なんて思っていた。

 もしかしたら……そんな思いで前回と同様の手順を踏む。

 トイレの個室の中で、鼓動の高鳴りを感じながらジッと検査窓を見つめた。


「……。あっ……!」


 いそいそとトイレを後にし、小走りでリビングで待つ晃汰さんのもとへ向かう。

 ソファに座っていたはずの晃汰さんが、落ち着かなかったのかリビングの入り口近くまで来ていた。

 その胸にそのまま飛び込んでいく。


「おっと、どうした⁉」

「晃汰さん!」


 喜びが興奮からすんなり言葉にならず、握りしめる検査薬を手渡した。

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