溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「陽性、でした。私、妊娠してるってことですよね?」
嬉しくて感動して、喉と鼻の奥がぐっと詰まる。
あっという間に目には涙が浮かび、ぽろりと溢れ出た。
「ほんとだ。やっぱり、一度目では反応しなかっただけだったのか」
晃汰さんが私を両手で抱き寄せる。私からもしっかりと抱きついた。
「晃汰さん、よかった……私、赤ちゃんができなかったらって、心配してたから」
喜びと安堵でさらにぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
晃汰さんは腕を緩めて私の頬に唇を寄せた。
「そんな心配をしてたのか。言っただろ? たとえ授からなくても、なにも変わらないって」
私が流す涙に口づけを落とし、晃汰さんは「千尋」と優しく囁く。
「でも、嬉しい。俺たちのもとに新しい命が誕生したなら、最高に幸せだ」
「はい。私も、最高に幸せです」
晃汰さんは私を気遣うようにそっとソファに座らせてくれる。そのとなりにかけ、私の手を取った。
「明日、産科を受診しよう」
「はい」
このお腹の中に、晃汰さんとの子が宿っている。
そう思うと愛しくて愛しくて、そっとお腹の上に手を置いてみた。
私の手の上に、晃汰さんの大きな手も重なる。
顔を見合わせ互いに幸せいっぱいの笑みを見せ合った。