溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 でも、その連絡がきた時点で十八時四十分を過ぎていたことから、レストランに到着して食事を始められるのは間違いなく十九時を過ぎてしまうだろうと予測できた。

 キャンセル退店を申し出たことは、現実的に考えて賢明な判断だっただろう。

 秘書をしていた感覚でスケジュール調整をしてしまったけれど、やっぱり仕事の時のようになんの感情もなくはできない。

 せっかく晃汰さんが予約してくれた、ふたりで過ごせる時間だったのだ。

 でも、仕方ないよね……。


「千尋さん」


 腰をかけたまま肩を落とし、自分の足下を見ている私に声がかかる。

 下の名前で呼ばれたことに驚いてばっと顔を上げると、そこにあった姿にさらに息が止まりかけた。


 なん、で……?

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