溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「千尋さん……迎えにきました」

「え……?」


 一歩、また一歩と近づいてくるのは、以前、晃汰さんと結婚する前に縁談をした小室さん。私の中ではもう過去の人だ。

 その小室さんが、なぜ今ここに?


「あの、どうして、ここに……?」

「あなたのことが忘れられなくて、ずっと近づける機会を窺っていた」


 ゾッとするような言葉が出てきて瞬きを忘れる。知らぬ間に行動を監視されていたのだろうか。

 だから、この場所にも……?


「やっとひとりになってくれた。さぁ、ぼくと一緒に行こう」


 近づいてきた小室さんが私の腕を掴む。

 驚いて声も出せない私を、小室さんは強引にベンチから立ち上がらせようと引っ張った。

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