溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「晃汰さん、あの」
困惑する彼女の腕を掴んだまま、シャワーの栓をひねる。
勢いよく出たシャワーは、あっという間にバスルームを温かい湯気で包み込んだ。
「晃汰さん、服が濡れます」
服どころか、もうふたりとも跳ねる水しぶきで髪や顔まで濡れている。
彼女の身につけているジャケットのボタンに手をかけ、早急に外していった。
「晃汰さんっ」
ジャケットを脱がせ、ブラウスのボタンに取りかかる。
さすがに驚いたのか、千尋の手が止めるように三つ目までボタンを外した俺の手を止める。
見上げた顔は戸惑いを隠しきれていない。
「他の男に触れられた体は、全部綺麗にしないと気が済まない」
他人が見れば少し腕を掴まれただけのこと。大したことではないかもしれない。
だけど、俺にとっては許されるものではない。
洗い流すだけでは足りないし、その出来事自体彼女の記憶から抹消したいくらいだ。