溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
そんな話をしながら目的階に到着し、晃汰さんに連れられ客室を目指す。
カードキーを使って入った客室は、グレーとホワイトを基調とした落ち着いた内装の部屋だった。
クリスマスの時期のため、ゴールドとボルドーのクッションがソファに置かれていたり、客室内にも広い窓際に大きなクリスマスツリーが飾られている。
ダウン照明にされている部屋の中で、それがキラキラと光り輝き目を奪われた。
「すごい……素敵な部屋」
部屋の中をぐるりと見回している私に、ソファに近付いた晃汰さんが「千尋、おいで」と手招きする。
並んで広いふかふかのソファに腰かけた。
「千尋」
横から腕を回し、晃汰さんは私を抱き寄せる。
そっと大きくなり始めたお腹に手を置いた。
「大丈夫か? 寒くなかったか?」
晃汰さんはお腹の中の子に向かって問いかける。
「……? 寝てますかね?」
最近は胎動も感じるようになり、お腹の中でうねうね動いているのがよくわかるようになってきた。
産科の先生の話によると、お腹の中でも赤ちゃんは寝たり起きたりを繰り返していて、静かな時は寝ていることが多いと言っていた。