溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「……お、今動いたような振動があった」


 私のお腹の表面に手を置いたまま、晃汰さんがジッと自分の手の甲を見つめる。


「動きましたね。表からもわかりましたか?」

「ああ、ほんと微かにだけどわかった」

「パパの問いかけへの答えなんですかね」


 そう言ってみると、晃汰さんは「パパか……」とどこか感慨深そうに呟いた。


「あと四カ月もすれば、パパになるんだもんな。千尋がママになって……なんか、まだ実感が湧かない」


 確かに、お腹は日に日に膨らみ赤ちゃんが成長しているのは身をもって感じている。

 だけど、晃汰さんの言うようにママになるということはまだぴんときていない部分がある。

 ちゃんと出産して、この手に我が子を抱いたら、母の自覚は自然と芽生えるのかな……?


「寒くなかったと言っても、知らぬ間に体を冷やしてるかもしれない。風呂の用意をしてくる」


 私をソファに座らせたまま、晃汰さんはひとりソファから立ち上がりバスルームへと向かっていった。

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