溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
15、麗らかな春の日に
四月十七日。朝から優しい陽が降り注ぐ麗かな春の日。
頭を優しく撫でられる感触で徐々に眠りから覚めていく。
薄っすら開けた目に映ったのは、私をジッと見つめる切れ長の奥二重。
いつから見られていたのかと焦ったせいで一気に目が覚める。
恥ずかしくて布団で顔を隠した。
「おはよう、ございます……」
「なんで隠れてるんだ」
晃汰さんはふっと笑って、私が顔を隠している布団を引っ張る。
剥がされないようにガードしながら、「だって、変な顔だったら恥ずかしい」と白状した。
よだれでも垂らしてたらさらにみっともない。
「大丈夫。かわいいからずっと見てても飽きない」
晃汰さんみたいに寝起きから完璧ならいくら見られてもいいけれど、私は不意打ちで見られて大丈夫な顔ではない。
「もう、そんなことないですから」
ふっと笑った晃汰さんが私の髪に口づけを落としてベッドを出ていく。
そっと隠していた顔を出すと、「コーヒー飲むか?」と訊かれた。
「はい。私も起きます」