溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
いつもと変わらぬ朝。
今日、四月十七日は出産予定日。晃汰さんのスケジュールを調整した結果、ちょうど出産予定日に計画分娩を行えることになった。
急な陣痛が起こることもなく、無事、予定の日の今日を迎えている。
昨晩はいろいろなことを考えながらベッドの中で目を瞑り、なかなか眠りにつけなかった。
「晃汰さん、私が」
「大丈夫だから、座ってて」
遅れてリビングに出ていくと、すでに晃汰さんが朝の一杯の準備をしていた。
私にはいつも通りカフェインレスコーヒーを。自分の分の一杯は別に淹れている。
「ありがとうございます」
ダイニングテーブルの椅子を引き、つい「よいしょ」とかけ声を呟いて腰を下ろした。
十カ月のお腹は皮膚がはちきれんばかりに膨らみ、三キロほどの重みはなかなか体への負担が大きい。
無意識に膨らむお腹の下を両手で支えて、持ち上げるような格好をしていることが多い。
晃汰さんが運んできてくれたコーヒーがテーブルに並ぶ。
「いただきます」
湯気の立ち上るカップに口をつけた。
砂糖とミルクを入れた、私の好み通りカスタマイズされているコーヒーは美味しい。
ふと、コーヒーのカップに口をつける晃汰さんを目に、切ない気持ちが押し寄せた。