溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「ちゃんと指示がある。大丈夫だ。もう大分頭が下りてきているようだ。もうすぐ力んで出産になるはずだ」


 本来であれば、今頃こんな風に汗ひとつかかず普通に会話をすることなんて不可能だったのだろう。

 麻痺してしまっている下半身がどれほどの痛みに耐えているのかは未知数だ。


「水瀬さん、赤ちゃんもう見えてきましたからね。こちらでお知らせしますので、力んでいきましょう」


 助産師さんの言葉でお産の進行具合がわかり、いよいよその時が近付いていることを知る。


「子宮口も全開になりましたので、力んでいきましょう。呼吸止めないで──」


 助産師さんからの「はい、力んでー!」というかけ声を聞いて力いっぱい力む。


「もっと力入れていいですよー、はい、頑張って」


 下半身の感覚が鈍っているから、どの程度の力を入れられているかも自分ではわからない。もっと力んでいいと言われ、体がぶるっと震えるほど一気に力を込める。

 晃汰さんが私の手を力強く握り、「千尋、頑張れ」と励ましてくれる。

 そして……。

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