溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「おめでとうございます! 生まれましたよ!」
分娩室には元気な産声が上がり、居合わせたスタッフから「おめでとうございます」の祝福の言葉が次々とかけられる。
痛みはないものの、全身の力が一気に抜けて脱力する感覚に襲われた。
「元気な男の子です!」
股の向こうから助産師さんがひょいと赤ん坊を持ち上げて見せてくれる。
ひと目見た瞬間、込み上げる感激で目元にぶわっと涙が浮かんだ。
「生まれ、た……」
放心状態の私の手を取ったまま、晃汰さんが分娩台の横に立つ。
晃汰さんと目が合うと、もう我慢できずボロボロと涙が溢れ出した。
「千尋、よく頑張ってくれた、ありがとう」