溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
最終章、彼女と天使と始めるストーリー Side Kouta
出産から六日後。
「ただいま」
玄関扉を開けると、千尋は中に向かって今まで通りただいまを口にする。
その腕には、真っ白なおくるみに包まれた生まれたての息子が抱かれている。
病院を出る時から、気持ちよさそうに目を瞑って眠っていて、車のチャイルドシートに乗せたら起きて泣き出すかと思いきや、そのままでいてくれた。
千尋の先を行き、リビングの扉を開く。
入院前にふたりで用意しておいたベビーベッドは、ホワイトとグレーカラーの木製のもの。
その上には、動物のモチーフがかわいいベッドメリーが飾られている。
千尋はその前まで行き、そっとベッドに包んだままの息子を寝かせた。
チャイルドシート同様、布団の上に寝かせても目を覚ますことなく眠ったままだ。
「帰ってきた……」
千尋がポツリと小声で呟く。
寝かせた息子を見つめる横顔を盗み見ると、もうすっかり母親の顔だ。