溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
だけど、本当にこの話を進めるのであれば、その条件を再確認する必要がある。
父の会社の経営難を本当に救ってくれるのか。私は、そのために結婚をしようとしているのだから。
「あの……」
一旦沈黙の流れた車内で私の方から話を切り出す。
水瀬院長はちらりとこちらに目を向けた後、フロントガラスの先に視線を戻して「なんだ」と訊いた。
「本当に、結婚の話を進めるのなら……条件を、はっきりさせていただきたいと」
「この結婚の、互いの条件ということか」
「そうです。私は……家の事情があって結婚を考えました。だから、そこがブレてしまえば意味がないので」
私の訴える声が真剣だったからかもしれない。
水瀬院長はウインカーランプを点灯させ車を路肩に停車させた。