溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「まだ時間は大丈夫か」
食事を終え再び車に乗り込んですぐ、窓の外を眺めていると、水瀬院長に問いかけられる。
「あ、はい。大丈夫です」
「それなら、この流れで新居を見にいこうと思う」
「えっ、もう用意されたんですか」
私の実家を揃って訪れた帰り、新居の準備を始めるとは言っていた。
だけど、あれからまだ一週間。
その間、晃汰さんは相変わらず多忙なスケジュールをこなしていたのは秘書の私が一番よく知っている。
オフの貴重な時間を使って、早々に新居を決めたのだろう。
「場所は、病院から近いところで決めさせてもらった。呼び出しにもすぐに対応できるようにな」
「そうですか。それがいいかと思います」
晃汰さんが向かったのは、病院から車で五分圏内にある比較的新しいタワーマンションだった。
雨の日も車に乗り込みやすい屋根つきの車寄せがあり、そこに車を停める。
ガラス張りの二重エントランスの向こうには、天井が数階分吹き抜けになったエントランスホールがお出迎えしてくれた。