溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
元院長の長男である水瀬院長は、アメリカで腕を磨いてきた心臓血管外科医。若くして難症例を何症例も成功させる〝若き神の手〟などと呼ばれる権威あるドクターだ。
院内にいるときにはオペの執刀が多く入り、院外では学会や講師、メディア等での仕事も多く入ってくる。
日々多忙を極める彼のサポートをし、早三年。水瀬院長のことは大分わかってきたつもりだ。
「小野寺、今日のところは我慢するから、明日付き合わないか、榊のステーキ」
水瀬院長がお気に入りの銀座にある高級ステーキ店。目の前でシェフが最高級ランクや希少価値のある肉を焼いてくれる、一般庶民には到底縁のない高級店だ。
行きたいと言い出すと、彼は達成するまでずっと言い続けることを私はよく知っている。
面倒臭いと思うことも多々あるけれど、この執着する部分が彼を優秀な心臓血管外科医にしたこともよく知っている。
いつまでも勉強熱心で常に向上心を持ち、追い求めるところは私から見ていても尊敬しかない。