溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る

「それは困るな。仕事とプライベートは切り替えてもらわないと、二十四時間仕事中みたいになったら困る」


　それは、私も同感ですが……。

　そう口にはなんとなくできず、「申し訳ありません」と謝る。


「その口調もなんとかしてもらおうか」

「あっ……」


　行動も口調も簡単には切り替えられないことを痛感していると、目的階へと到着する。

　晃汰さんがオープンボタンを押したまま「どうぞ」と私に先に降りるよう気遣ってくれて、どこか落ち着かない気分で「ありがとうございます」とエレベーターを後にした。

　共有の内廊下はホテルライクな絨毯仕様で、豪華な作りに改めて緊張が高まる。

　エレベーターホールを出て左奥突き当たりの部屋の前まで行くと、晃汰さんがカードキーで玄関ドアを解錠した。

　ダークブラウンのドアを開くと。中は清潔感のあるホワイトを基調とした明るい空間が広がっている。

　ふたりで住むには十分すぎる、いや、広すぎる玄関に圧倒されてしまう。