溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 ここで、晃汰さんとの夫婦生活が始まる。

 婚姻届を提出し、実際に新居に来ている今もやっぱり実感が湧かず、ふわふわしている感覚がある。

 でも、確かな現実として事は着実に進んでいるのだ。

 今まで秘書という身でそばで働いてきた。

 院長として敬い、サポートをしてきた晃汰さんを、これからは夫としても寄り添い支えていく。

 目の前の彼を見上げ、ジッとその端整な横顔を見つめる。

 私の視線を感じて窓の向こうからこっちに視線を戻した晃汰さんと目が合い、どきりと大きく心臓が跳ね上がった。


「次のお休みで、はい、承知しました」

「だから、話し方。夫婦で『承知しました』なんておかしいだろう」

「あっ、すみません」


 今日はなんだか謝ってばかりだ。

 自分の適応能力の低さに思わずため息が出そうになる。

 それを押し込めて、俯けた顔をしっかりと上げた。

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