私だけを濡らす雨/ハードバージョン
その狂気、臨界接近す①



”ツグミのヤツ…、私がパパとママを殺してないって言ったら、ホッとしてやんの(苦笑)。まあ、次は自分かって、幼い時からずっと怯えていたのはこっちにも伝わっていたからね。とは言え、いよいよ私が犬をぶっ殺すとこまで来たんで、ヒト殺るのも時間の問題だろうって恐怖は返って募ったかもね(薄笑)”


今夜、氷子は一周り以上も年の離れた妹のツグミと、めったにないコアな本音を交えた会話の場を持った。
最も、これは当のツグミが感じ取っていたように、まさしくこの奇異稀な姉妹にとっては、壮絶な”心理戦”でもあった。
そして、姉の氷子のみならず、若干14歳の少女であるツグミも、その必然循環たる”側面”を十分理解していたのだ。


”そんで!アイツ…、見抜いてたわ。私が故意に裁判沙汰をいくつも起こしてるってことも、その相手を挑発して、こっちを殺そうとする野郎が出てくるのを待ってるってのも…。だから私は正直に言ってやったわ。これ以上はやんないってね。ツグミはすぐピンときてたな。それって、もうその必要がないからと…。ツグミ~、ご名答~(爆笑)”


そうなのであった…‼
ツグミは、イカレた姉の殺しの対象者に、桜木正樹がエントリーさたことを察知したのだった。


”ツグミは私がなんで、桜木なのか、その理由もわかったみたいね。そうよ!あの男の弟とアンタ、接点バリバリってのが決定打なんだわ。ふふふ‥、アンタ、私がその弟とのコト、どこまで知ってるかを探ってたわね。まあ、今はよーく考えてな。これは私とツグミとの決着でもあるんだからな(瞳孔全開鬼神のようなカオ!)”







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