私だけを濡らす雨/ハードバージョン
その狂気、臨界接近す④
この惨夜を以って、郡氷子のタイムスケジュールは定まってしまった。
これは、もはや狂気のロケットが発射台にセットされたことを意味した。
ヨシキを仮想桜木ケンとしての、事実上の人体実験は、さしもの氷子も自身のセーブを放棄した一線超えを自覚するに至っていた。
で…、濃厚極まる昨夜の責め苦で白目をむいて痙攣するトシキの美しい様晒しの絵柄を両の瞼にフラッシュバックさせるのであった。
”ううん~、たまらなくステキだったわ、夕べのトシキ…❣あれがあの中坊だと想像したら昇天しそうだったし…”
そして…、そのイカレた瞼が映すソレは、フツーなニンゲンには正視不能のバッテン映像であったのは言うまでもなかった。
***
「おらー、いつまでへばってるんだ、テメー!まずは起き上がって私の前でシャキッと立てって!」
”ボコッ!ボコッ!バシーン…!”
氷子は高速具で自由を奪われ、すっぽんぽんに剥がれて横ばいになっている若い男を蹴りまくり踏みつけまくったあげく、その茶色い染まった髪の毛を鷲掴みにすると、膝打ちを横っぱらにめり込ませながらひっ立てた。さらに、自動的に開脚を余儀なくされてる股間へ思いっきりキックを放った。
「ううっ…」
手錠と自らの両手が寄り添うように、激痛を浴びた股間へ吸い寄せられるように引っついていった。
もう氷子のテンションはメーターアップして、手のつけようがない…。
***
「ベッドで待ってろ!」
ついにキレ狂った最狂女はゴミでも放るかのように、ヨシキを両手での髪の毛投げでベッドに放り捨てた。
「はあ、はあ、はあ…。ヨシキ!さっさと天井向いて、即おっ起てろ!私が裸になる前に不完全なら、ちょん切る!」
ここでついに20才そこそこの青年はパニックを起こした。
「わー!やだー!オレはもう帰るー!!」
”コノヤロー!!この期に及んでダダこねやがって!場合によっちゃあ、このモヤシ男からぶっ殺す!”
「テメー‼萎えてんじゃねーよ!」
誠に素早く服を全部脱いで自らも生まれたまんまの姿になった氷子は、瞬間移動のごとく、アタッシュケースに潜ませたあった出刃包丁を握って、気が付くと拘束男に馬乗りとなっていた。
”ボコッ!ボコッ…!”
氷子は左の肘にヨシキの喉元へ体重を乗せベッドにめり込ませながら、包丁を掴んだ右こぶしで練習台男の顔面を垂直に何度も何度も殴り下ろした。
「はあ、はあ、はあ…。どうなんだ!お前の下半身、準備たったか⁉」
「うぐっ、うぐ‥」
ヨシキは泡を吹いて、意識朦朧となっている…。
だが…。
***
「おおー!ヨシキ、お前の、全然オッケーじゃん!アハハハ…、かわいいなあ…。私が包み込んであげるからねえ~~💖」
言うまでもなく、マトモなヨシキはこの狂った女に欲情したのではなく、極限の恐怖が我が身を貫通して勃起した…。
そう言うことであった。
これがいわゆる火事場の恐怖タチであろうか…。
***
ここに来て郡氷子はある意味、後光を発していた。
と言ってもここでのそれは、放射能レベルの猛毒ものの眩しい光ではあったが!
腰を折り両膝で両手を支えて肩で荒い息を整える…。
その体はまさに、ゴール直後の陸上ランナーさながらである。
全力疾走…。
己のその時点での完全燃焼…。
通常の人であるならばささやかでも充実感を享受する。
マトモな人間なら…。
だが…、生憎なことに郡氷子にとって、そこへ到達する感性はおぞましいほど自身に課したとも言うべき、無意味な倒錯への誘惑にほかならなかった。
彼女流にこれを端的に言葉で表させれば、”クソな自分”だった。
そんな自分はこの自分には存在しない!
そんなもん、許せない…!
”だって、許容は罪悪だもん❣”
故に、彼女の到達点は明瞭であった。
この惨夜を以って、郡氷子のタイムスケジュールは定まってしまった。
これは、もはや狂気のロケットが発射台にセットされたことを意味した。
ヨシキを仮想桜木ケンとしての、事実上の人体実験は、さしもの氷子も自身のセーブを放棄した一線超えを自覚するに至っていた。
で…、濃厚極まる昨夜の責め苦で白目をむいて痙攣するトシキの美しい様晒しの絵柄を両の瞼にフラッシュバックさせるのであった。
”ううん~、たまらなくステキだったわ、夕べのトシキ…❣あれがあの中坊だと想像したら昇天しそうだったし…”
そして…、そのイカレた瞼が映すソレは、フツーなニンゲンには正視不能のバッテン映像であったのは言うまでもなかった。
***
「おらー、いつまでへばってるんだ、テメー!まずは起き上がって私の前でシャキッと立てって!」
”ボコッ!ボコッ!バシーン…!”
氷子は高速具で自由を奪われ、すっぽんぽんに剥がれて横ばいになっている若い男を蹴りまくり踏みつけまくったあげく、その茶色い染まった髪の毛を鷲掴みにすると、膝打ちを横っぱらにめり込ませながらひっ立てた。さらに、自動的に開脚を余儀なくされてる股間へ思いっきりキックを放った。
「ううっ…」
手錠と自らの両手が寄り添うように、激痛を浴びた股間へ吸い寄せられるように引っついていった。
もう氷子のテンションはメーターアップして、手のつけようがない…。
***
「ベッドで待ってろ!」
ついにキレ狂った最狂女はゴミでも放るかのように、ヨシキを両手での髪の毛投げでベッドに放り捨てた。
「はあ、はあ、はあ…。ヨシキ!さっさと天井向いて、即おっ起てろ!私が裸になる前に不完全なら、ちょん切る!」
ここでついに20才そこそこの青年はパニックを起こした。
「わー!やだー!オレはもう帰るー!!」
”コノヤロー!!この期に及んでダダこねやがって!場合によっちゃあ、このモヤシ男からぶっ殺す!”
「テメー‼萎えてんじゃねーよ!」
誠に素早く服を全部脱いで自らも生まれたまんまの姿になった氷子は、瞬間移動のごとく、アタッシュケースに潜ませたあった出刃包丁を握って、気が付くと拘束男に馬乗りとなっていた。
”ボコッ!ボコッ…!”
氷子は左の肘にヨシキの喉元へ体重を乗せベッドにめり込ませながら、包丁を掴んだ右こぶしで練習台男の顔面を垂直に何度も何度も殴り下ろした。
「はあ、はあ、はあ…。どうなんだ!お前の下半身、準備たったか⁉」
「うぐっ、うぐ‥」
ヨシキは泡を吹いて、意識朦朧となっている…。
だが…。
***
「おおー!ヨシキ、お前の、全然オッケーじゃん!アハハハ…、かわいいなあ…。私が包み込んであげるからねえ~~💖」
言うまでもなく、マトモなヨシキはこの狂った女に欲情したのではなく、極限の恐怖が我が身を貫通して勃起した…。
そう言うことであった。
これがいわゆる火事場の恐怖タチであろうか…。
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ここに来て郡氷子はある意味、後光を発していた。
と言ってもここでのそれは、放射能レベルの猛毒ものの眩しい光ではあったが!
腰を折り両膝で両手を支えて肩で荒い息を整える…。
その体はまさに、ゴール直後の陸上ランナーさながらである。
全力疾走…。
己のその時点での完全燃焼…。
通常の人であるならばささやかでも充実感を享受する。
マトモな人間なら…。
だが…、生憎なことに郡氷子にとって、そこへ到達する感性はおぞましいほど自身に課したとも言うべき、無意味な倒錯への誘惑にほかならなかった。
彼女流にこれを端的に言葉で表させれば、”クソな自分”だった。
そんな自分はこの自分には存在しない!
そんなもん、許せない…!
”だって、許容は罪悪だもん❣”
故に、彼女の到達点は明瞭であった。