私だけを濡らす雨/ハードバージョン
確信のもと
ツグミが桜木家に到着したのは、夜6時前だった。
「ウチの親は転勤族でね。オヤジは今、海外なんだ。母はオレの方もケンの方も早死にでさ。要は、君たち姉妹と一緒で兄弟二人住まいでね」
「たぶん、そう言う共通軸もお姉ちゃんは加味したと思いますよ。あの人からすると、それがシュチエーションになるのかも知れないわ」
「うん…、ああそうだ。うっかり忘れていたが、ケンには連絡しないとな。今日は部活で遅くなるとは言っていたが…」
桜木兄は、どうも頭の回転がゆったりとしていた。
”そうよ‼フツー、すぐそこを突くわよね、即!なのに~~、なんだよね~~(私はくしょう💖)”
ツグミは思わず苦笑した。
***
「つながんねーや。ライン入れとくか…」
ツグミはあらかじめケンには、家に着くまでスマホの電源を切っとくようにと連絡していた。
姉が自分のケータイからケンの番号を盗んだから、今日かかってくるはずだと言って…。
何しろツグミにとって、その日の行動は賭けでもあった。
姉のシグナルを読み違えていれば、万事休すだ。
郡姉妹の”決着”は究極のサバイバル心理ゲームにも行き着いていたのだ。
***
「あのさあ…、よく考えてみると、ツグミちゃんの解釈通りとしてだよ、お姉さんのターゲットってさ、オレじゃなくてケンでもよかったんじゃないのか?」
「実はお姉ちゃん、ケンに惚れちゃったんです。帰ってきたら聞いてください。この前コンビニで待ち伏せされて、ズバリ誘われたそうです。まあ、彼はああいう人なので、きっぱり断ったって言ってました」
ツグミはためらわずそう切り返した。
「そうなのか…」
「ごめんなさい…。私、色々想定が頭巡って、ケンには昨日会ったんです。ただそのこと、お兄さんにはしばらく黙ってようって…」
「そう…」
”ホント、素直ね、この人…❣”
この時点で郡ツグミは、平気で二人に嘘をついていた。
彼女は実質、桜井兄弟を掌に乗せていたのだが、決して自覚してのことではなかった…。
***
そして、着実に時計の針は時間を刻んでいった。
夜7時を過ぎて…。
ケンからは電話もラインの返信も既読印もなかった。
”バスケの部活にしても遅すぎるよ。学校へも連絡したら、とっくに生徒は全員返ったってことだったし…。どうやら私の読み、丸々的中って訳…?”
彼女はほぼ”今夜”という読みに確信を抱いた。
そこで桜木正樹に提案した。
「お兄さん、やっぱり警察に連絡した方がいいと思う」
「うん…、そうだな」
「お姉ちゃんが襲ってくるからって言ったんじゃ警察は駆けつけてくれないだろうけど、身内が夜になっても連絡なしで帰ってこないって言えば来てくれるんじゃないかな」
「ああ、そうだな。もう一度発信してラインして、それでもなら110番しよう」
ケンの兄は決断した。
”さあ…、あとはイカレ女の出方次第で私は迎え撃つ。私はどっちでもいいのよ、氷子姉ちゃん…”
だがちょうどその頃、その桜木ケンがすでに姉の氷子に拉致され、どんな酷い目に遭わされていたのか…、さすがの妹も”そこまで”想像だになかった…。
***
ー以下はツグミの心の中のつぶやきー
ここで、夜7時半近くなった
ケンからは電話もラインの返信も既読印もなかった
バスケの部活にしても遅すぎるよね
学校へも連絡したら、とっくに生徒は全員返ったってことだったし
どうやら私の読み、丸々的中って訳なの…⁉
冗談抜きで、私…、郡氷子の実妹たるワタシ…、まじ、ブルってた
ケン…、大丈夫だよね‼
あなたは私の狂った狂気の、発狂物のイカレ女になんか屈しないよね!
だよね…
***
それからしばらくの時間が走り去って…
なんもない!
ラインの既読もメールの電話も‼
なら、本格的にヤバいかもだ
私、やっぱ、ケンの身を最優先したよ
「お兄さん、やっぱり警察に連絡した方がいいと思う。ここまで来たら、もう躊躇してたらケンの身に及ぶと思う…」
何気に私はケン兄ちゃんを試したわ
でも、この人、ここでもダサカタなんだよ
軽いんだよね
でも…
いいんだよね、そういう感覚もらえれば年下の方は!
***
「うん…、そうだな」
これだもん!
”あの年”で”あそこまで”硬骨漢なケンとは逆巻きな、目の前の現実と車座とかってトホホおやじ、もう全開だし!
だけど!
この時の私は必死だったけど、極めてピュアだったのよ
それ、私的にキュン✖3乗ラインなの…💦
***
そこをこらえ切って、私は郡氷子を共通の敵に仕立てるコトに集中したよ、私!
「…お姉ちゃんが襲ってくるからって言ったんじゃ、やっぱ警察は駆けつけてくれないだろうけど、身内が夜になっても連絡なしで帰ってないって言えば来てくれるんじゃないかな?」
もう私の提案は切羽詰まるルンルンで、瞳孔かっ開きでガンガンだったよ、ふう~~
こっちも必死なの!
「ああ、そうだな。もう一度発信してラインして、それでもなら110番しよう」
さあ!
となると…、イカレ女の出方次第で私は迎え撃つ
これしか私たち姉妹の決着のステージはナシよ!
私はどっちでもいいのよ、氷子姉ちゃん
うふふ…
ツグミが桜木家に到着したのは、夜6時前だった。
「ウチの親は転勤族でね。オヤジは今、海外なんだ。母はオレの方もケンの方も早死にでさ。要は、君たち姉妹と一緒で兄弟二人住まいでね」
「たぶん、そう言う共通軸もお姉ちゃんは加味したと思いますよ。あの人からすると、それがシュチエーションになるのかも知れないわ」
「うん…、ああそうだ。うっかり忘れていたが、ケンには連絡しないとな。今日は部活で遅くなるとは言っていたが…」
桜木兄は、どうも頭の回転がゆったりとしていた。
”そうよ‼フツー、すぐそこを突くわよね、即!なのに~~、なんだよね~~(私はくしょう💖)”
ツグミは思わず苦笑した。
***
「つながんねーや。ライン入れとくか…」
ツグミはあらかじめケンには、家に着くまでスマホの電源を切っとくようにと連絡していた。
姉が自分のケータイからケンの番号を盗んだから、今日かかってくるはずだと言って…。
何しろツグミにとって、その日の行動は賭けでもあった。
姉のシグナルを読み違えていれば、万事休すだ。
郡姉妹の”決着”は究極のサバイバル心理ゲームにも行き着いていたのだ。
***
「あのさあ…、よく考えてみると、ツグミちゃんの解釈通りとしてだよ、お姉さんのターゲットってさ、オレじゃなくてケンでもよかったんじゃないのか?」
「実はお姉ちゃん、ケンに惚れちゃったんです。帰ってきたら聞いてください。この前コンビニで待ち伏せされて、ズバリ誘われたそうです。まあ、彼はああいう人なので、きっぱり断ったって言ってました」
ツグミはためらわずそう切り返した。
「そうなのか…」
「ごめんなさい…。私、色々想定が頭巡って、ケンには昨日会ったんです。ただそのこと、お兄さんにはしばらく黙ってようって…」
「そう…」
”ホント、素直ね、この人…❣”
この時点で郡ツグミは、平気で二人に嘘をついていた。
彼女は実質、桜井兄弟を掌に乗せていたのだが、決して自覚してのことではなかった…。
***
そして、着実に時計の針は時間を刻んでいった。
夜7時を過ぎて…。
ケンからは電話もラインの返信も既読印もなかった。
”バスケの部活にしても遅すぎるよ。学校へも連絡したら、とっくに生徒は全員返ったってことだったし…。どうやら私の読み、丸々的中って訳…?”
彼女はほぼ”今夜”という読みに確信を抱いた。
そこで桜木正樹に提案した。
「お兄さん、やっぱり警察に連絡した方がいいと思う」
「うん…、そうだな」
「お姉ちゃんが襲ってくるからって言ったんじゃ警察は駆けつけてくれないだろうけど、身内が夜になっても連絡なしで帰ってこないって言えば来てくれるんじゃないかな」
「ああ、そうだな。もう一度発信してラインして、それでもなら110番しよう」
ケンの兄は決断した。
”さあ…、あとはイカレ女の出方次第で私は迎え撃つ。私はどっちでもいいのよ、氷子姉ちゃん…”
だがちょうどその頃、その桜木ケンがすでに姉の氷子に拉致され、どんな酷い目に遭わされていたのか…、さすがの妹も”そこまで”想像だになかった…。
***
ー以下はツグミの心の中のつぶやきー
ここで、夜7時半近くなった
ケンからは電話もラインの返信も既読印もなかった
バスケの部活にしても遅すぎるよね
学校へも連絡したら、とっくに生徒は全員返ったってことだったし
どうやら私の読み、丸々的中って訳なの…⁉
冗談抜きで、私…、郡氷子の実妹たるワタシ…、まじ、ブルってた
ケン…、大丈夫だよね‼
あなたは私の狂った狂気の、発狂物のイカレ女になんか屈しないよね!
だよね…
***
それからしばらくの時間が走り去って…
なんもない!
ラインの既読もメールの電話も‼
なら、本格的にヤバいかもだ
私、やっぱ、ケンの身を最優先したよ
「お兄さん、やっぱり警察に連絡した方がいいと思う。ここまで来たら、もう躊躇してたらケンの身に及ぶと思う…」
何気に私はケン兄ちゃんを試したわ
でも、この人、ここでもダサカタなんだよ
軽いんだよね
でも…
いいんだよね、そういう感覚もらえれば年下の方は!
***
「うん…、そうだな」
これだもん!
”あの年”で”あそこまで”硬骨漢なケンとは逆巻きな、目の前の現実と車座とかってトホホおやじ、もう全開だし!
だけど!
この時の私は必死だったけど、極めてピュアだったのよ
それ、私的にキュン✖3乗ラインなの…💦
***
そこをこらえ切って、私は郡氷子を共通の敵に仕立てるコトに集中したよ、私!
「…お姉ちゃんが襲ってくるからって言ったんじゃ、やっぱ警察は駆けつけてくれないだろうけど、身内が夜になっても連絡なしで帰ってないって言えば来てくれるんじゃないかな?」
もう私の提案は切羽詰まるルンルンで、瞳孔かっ開きでガンガンだったよ、ふう~~
こっちも必死なの!
「ああ、そうだな。もう一度発信してラインして、それでもなら110番しよう」
さあ!
となると…、イカレ女の出方次第で私は迎え撃つ
これしか私たち姉妹の決着のステージはナシよ!
私はどっちでもいいのよ、氷子姉ちゃん
うふふ…